Connecting the dots
中高大一貫校に中学受験で合格、入学したものの高校で中退…。興味のあったビジネスを学ぶべく、一念発起して大学受験。大学卒業後は、日系大手企業に入社し、その後外資系大手メーカーへ転職。現在はマレーシアの現地企業で働きながら今秋よりMBAへの通学を控える。そんな、ジェットコースターのような人生を歩む高田さんのキャリアと、モットー(座右の銘)に迫りました。
周りに何を言われようと自分の信じた道をゆく
「私の座右の銘はConnecting the dots。直訳すると点と点を結ぶ。スティーブ・ジョブズが2005年のスタンフォード大学の卒業式での言葉です。」
「過去にたくさん失敗をして笑われたりしたことも、全て積み重なって今があります。やってみたいことを考えてやらない人もいるかと思います。でも、まずはやってみて、過去を振り返ったときにConnect(コネクト・繋げる)できるように動きながら考えるべきです。高校中退時も、転職時も、起業時も、現在の判断時にも、判断する際の考えの根底として常に意識しています。」
遠回りの学生時代
Connecting the dotsの考えを持って意思決定されてきた高田さん。そんな高田さんは少し変わった学生時代を送りました。
「とにかく苦労の多い学生時代でした。幼少期から、興味が湧くことはとことん追求する性格で、一方で興味が湧かないことに関しては必要最低限のことのみ理解しようとしていました。高校時代はレールに沿った生き方に疑問を抱き、中退しました。高校中退後は、アルバイトをしながら社会人サッカーチームに加入しました。当時のチームには、いわゆる一流大手企業の社員さんも多く在籍していて、自然と業界や仕事の話が耳に入りました。その環境下で、自分で選択肢を捨てるのは良くないと思い、大学では自分の興味のあることを主体的に学びたいと考え、高校を中退したものの大学進学する決断をしました。そこから一念発起し、通信制の学校で必要な単位取得をしながら受験勉強をしました。」
「受験勉強はつらいという思いはなく、将来の選択肢のために必要なことという認識でした。だからこそ、ひらすら前向きに勉強していましたし、知識を蓄えるのを楽しみながら勉強していました。」
自分にとって必要なことのためなら努力を惜しまない意志を高校時代から持っていた高田さん。大学時代も自分の興味に従順に学びを深めていきます。
「大学時代は、授業・バイト・自己学習の繰り返しです。ビジネスに興味があったので、法学部で会社法や労働法の勉強をそこまでやるか?と言われるくらいやり、授業が無い日はとことんバイト三昧。空き時間は自己学習で好きな学問を突き詰めていました。」
つらくても食らいついた日系・外資系大手での経験
自分の「スキ」に忠実に従う学生時代を過ごした後、新卒でリクルートに入社することとなります。
「就職時に、将来はこうなりたいという未来像はありませんでした。しかし、5年後、10年後、世の中が大きく変わっていく中で、これをやりたい!と思った時に飛び込める状態を作っておきたい、という想いのもと就活しました。自分の伸びしろを一番大きくできるのがリクルートだと思い、入社しました。」
「リクルートでは、自分の限界値をとことん引き上げてもらいました。自分では60くらいでいいかな~と思っても100まで考え抜かなくてはならない環境です。ビジネスマンとして妥協せずに、どこまで考え抜けるか。どこまで自分を追い込めるか。勝負どころで、どこまでその勝負に懸けることができるか。今やらなくてはならないことに向き合うことができた1年間でした。いまでも当時の上司には大変感謝しています。世間的に1年での退職は短いと思われるとは思いますが、自分の中では4~5年やったくらいの印象がありました。」
辛くても自分を追い込むことで、得られた考え抜く力とビジネス戦闘力。1年間の頑張りが評価され、P&Gへ転職することとなります。
「P&Gでは、主に営業企画に携わりました。シンガポールのアジア本部で作られたブランド計画を実際に日本で展開していくために、セールスや他部門と連携しながら販売戦略の策定・実行をしていく仕事です。」
「P&Gでは、巻き込み力が鍛えられました。セールス組織の代表として生産・在庫管理を行う部門等の他部署とも協力しなくてはならないし、事業・販売計画を上手く伝えなければいけない。特に、商品をより売ってもらうために、セールスチームに対して具体的かつ明確な指示を出す必要があります。当時、25-26歳と組織の中では若手であった私から、どのようにお願いしたらセールス組織が動きやすい・理解しやすいかを考え、神経や感覚を研ぎ澄ませながら仕事をしました。理屈だけでも、感覚だけでもなく、あらゆる側面を意識・考えながら働けたことは、大きな財産となりました。」
「その後、自身が経験していない領域や業務を知りたいという想いから自身の会社を起業すると同時に、いくつかのスタートアップにも社員として在籍しながら働きました。妻の夢が海外移住・海外での教育だったこともあり、1年くらいやったタイミングで、家族で話合いの上でマレーシアに移住することにしました。」
「今まで、働く軸を持ちつつもキャリアドリフト思考※1でキャリアを歩んできました。今後は、MBAでの学びを現職で試し、実務に生かすことで、理論と実務の両面から思考力・実行力を体得し今後のキャリアを深化させていきたいと考えています。」
経験が今を作り、柔軟に未来を創る
学生時代の苦労。とことん突き詰め、自分と向き合ったリクルート時代。周囲との関係の中仕事する術を学んだP&G時代。様々なご経験をされた高田さんに若者へのメッセージをお聞きしました。
「今どんなにつらくても・未来に漠然と不安があったとしても、経験してきたことがどこかでつながったり、役立ったり、支えになるときがあると思います。私も過去を振り返ると、たくさんの周囲の人に笑われ・心配され、本当に大丈夫かなと考えていました。ただ、結果として過去に選んできた選択は間違っていなかったと思います。」
「レールに沿ったきれいな生き方もありだとは思いますが、寄り道して自らレールを作って、時には馬鹿にされながらも多くの経験をしている方が、私個人としては奥行きや深みがあって面白いと思います。周りに流されることなく、直観や心の声にしたがって思いっきり日々の選択や決断をしてみてください。自分が人生の主人公として生きていけるように、今後の世の中を担う一員として一緒に人生を全うしていきましょう。Connecting the dotsで、経験がこれからを作っていくはずです。」
髙田 俊行
中高大一貫校に中学受験で入学するも、高校で中退。通信制高校を卒業後、南山大学法学部に入学。卒業後はリクルートグループに入社し、医療分野のICT領域の新規事業開発に約1年間従事。その後、P&Gに転職し、アリエールやボールド等の衣料用洗剤カテゴリーの営業企画・販売促進に携わる。約5年間の勤務後、起業したのち、現在はマレーシアの現地企業で勤務の傍ら、今秋より国立マラヤ大学MBAへの通学を控えている。(2023年8月時点)
〇奥様が「教育移住」について話している記事もありますので、こちらを確認ください。
※1キャリアドリフト思考:次に進みたいキャリアの方向性だけ決めて、流れに身を任せてキャリアを積んでいくという考え方のこと。一方のキャリアデザイン思考とは、目指したい将来像にたどり着くため、いつどのようなキャリアを積むのかを詳細に計画し、効率的に実行していくという考え方のこと。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/career-drift/#:~:text=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%B3-,%EF%BC%91%EF%BC%8E%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%95%E3%83%88%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F,%E6%BC%82%E6%B5%81%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82