What's your motto

ニューヨークで日本の野菜を宅配|アメリカでおいしい野菜を広めるために【VEGGIE YA(ベジ家) 高田 理紗】

What's your motto

ニューヨークで日本野菜の宅配サービスを運営する VEGGIE YA(ベジ家)高田さんインタビュー

アメリカでは近年、アジアのカルチャーに火が付き、大きなムーブメントとなっています。日本のおいしくて健康・安全な野菜にも注目が集まる中、ニューヨーク市内で宅配サービスを展開している日本人がいます。コロナのパンデミックを機に、野菜の宅配サービスに携わり、昨年起業されたVEGGIE YA(ベジ家) 高田さんにインタビューしました。

VEGGIE YA(ベジ家) 高田 理紗さん【本人提供】

アメリカで経験したパンデミックが宅配との出会い

「宅配事業に関わる前は、ニューヨーク市内のツアーガイドをしていましたが、コロナのパンデミックで仕事がゼロになりました。そんな中、知り合いが声をかけてくださり、宅配事業を手伝うところから始まりました。」

ニューヨークへ1年間の留学後、ツアーガイドとして生計を立てていたものの、パンデミックで仕事はゼロに。全くの異業種である宅配事業にジョブチェンジするわけですが、日本に帰るか、それともアメリカで転職するかをかなり悩んだそうです。

当時、最優先で考えていたのは、日本に帰国して旅行業への就職でした。よくよく考えてみると、日本をはじめ全世界で旅行業が止まってしまい、どこにも仕事が無い状況でした。また、アメリカでは爆発的にコロナの感染が広まり、日本にいる家族に会いたい想いもありましたが、私自身帰国することに対して懸念する部分がありました。異業種への転職で悩みましたが、コロナで需要が伸びていた宅配事業へ携わることを決めました。

マスクとフェイスシールドを付け、日本の野菜をご注文いただいたお宅へお届けする生活がスタートしました。宅配を続けていると、昔の思い出が蘇ってきたそうです。

この宅配の仕事が、昔の夏休みにやっていたことと似ていると感じるようになりました。父の実家がブドウ農家で、幼い頃は祖父の農園や出荷の手伝いをしていました。収穫したものを受け取り、箱に詰め、配達する流れがお手伝いしていたことに似ていて、懐かしさを感じるとともに「好きかも」と思いました。それがきっかけとなり、どんどんおいしい野菜を届けたいと思うようになり、今に至ります。」

コロナパンデミックをキッカケにジョブチェンジされた高田さん。幼い頃の経験がやりがいとなりました。【本人提供】

お客さんからの“声”が起業への活力に

宅配業へのやりがいを見出した中、オーナーの都合によりマネジメントが変わることになります。当時マネージャーを努めていた高田さんは、そのタイミングで配達業から去ることとなりました。その後、宅配事業は知らぬ間に畳むことに。一度は廃業となった宅配業を高田さんが再び立ち上げた背景には、お客さんからの“声”がありました。

新鮮な日本野菜が近所で手に入らなくて困ってます
子育てで買い物が大変なので、宅配サービスを復活してほしいです

既に配達業から去っていたにもかかわらず、なぜか私のもとにHelpの声があちこちと寄せられました。お客様からの”声”を頂いたことで、社名を変えて再度立ち上げることを決意しました。」

「もちろん信頼するニューヨークの“恩人”からの後押しがない限り、実際に行動に移すのは難しかったですが、元々農家さんの悩みの“声”があったのも理由の一つです。農家さんがスーパーに野菜を卸すとします。スーパーでは古い野菜から売られる仕組みとなり、収穫してから野菜が消費者の食卓に並ぶまでにかなりの時間がかかります。せっかくおいしい野菜を栽培しても、本当のおいしさが消費者のもとに届かない悩みが農家さんにはありました。“新鮮の美味しさを届けたい”農家さんの想いに強く共感し、社名をVEGGIE YA(ベジ家)に変え、私が事業を再度立ち上げることにしました。」

高田さんから頂いたこちらの人参も新鮮で、食べた瞬間に旨味と甘みを感じる美味しいお野菜でした。

ニューヨークでビジネスを立ち上げ、継続することに関して、すべてが大変だと語る高田さん。その中でも特に大変なのは、チーム作りとのことです。

事業がまだまだ小さい中で、同じ志を持つ仲間を集めるのがとても大変です。アメリカ・特にニューヨークに来ている人たちは、何かしらの目標や理由があるからこの場所に来ています。その人たちの中から、一緒に新鮮な日本野菜を届けようとする志を持つ仲間を探すのに大変苦戦しています。私たちの事業を応援してくださる方は多いので、その方々の期待に応えられるよう、仲間を集めて事業をより大きくしていきたいです。」

コロナを機に宅配業に携わり、自ら起業し、事業に取り組んでいる高田さんが描くビジョンとは?

多くの人に野菜の美味しさを届けるのが最大の使命です。特に、旬の食材を楽しみたい人、自分自身や家族の健康を守るお母さんたちに届けたい想いがあります。また、新鮮な野菜や、旬の食材を食べることは、心の治療にも繋がるといったデータもあります。最近元気がないなと思う人、治療を頑張ってる人など、宅配を通して少しでも役に立てるようになりたいです。そのためにも、認知をもっと拡大させ、日本の美味しい野菜といったら「VEGGIE YA(ベジ家)だよね」といった立ち位置の八百屋さんになれたらいいなと思います。

宅配している水菜とカブ。日本でもお馴染みの野菜を幅広く揃えています。【本人提供】

高田さんのモットー:知識や経験は誰にも奪われない

ニューヨークで宅配に関わることとなったキッカケや、起業された経緯をお聞きしてきました。そんな高田さんが大切にされているモットー(座右の銘)とは?

私のモットーは“知識や経験は誰にも奪われない”です。祖母が言っていた言葉で、何か新しいことを始める際には、自分の知識や経験になるものを優先して選択するようにしています。アメリカ行きを選択した時も、ニューヨークでツアーガイドを始めた時も、野菜の宅配業の道へ進んだ時も、このモットーを念頭に置いて選択してきました。知識や経験は奪われるものではなく、死ぬまで勉強し続けたり、たくさんの新しい経験が人生を豊かにします。キャリアの選択にムダだったと思うことは一つもないですし、全てが今に繋がっていると思えます。」

若者へのメッセージ

最後に、日本の若者へのメッセージをいただきました。

「全く同じことを自分自身に言い聞かせているのですが、自分が置かれている環境でどのように行動し、自分の好きなことへ繋げていくのかが非常に大切です。何か上手くいかない時には、環境や時代のせいにしたくもなります。ただ、自分がその環境や時代の中で、今後のためにどう繋げるかを考えながら行動すると、ムダなことなどひとつもありません。自分に矢印を向けて、置かれた環境で努力してみてください。」

高田 理紗

カナダでの留学とワーキングホリデーでの就業を経験後、ニューヨークでビジネスマネジメントを学ぶために1年間の留学。卒業後、3年間旅行会社でツアーガイドを行うも、コロナのパンデミックで仕事が激減。知り合いからの紹介で、野菜の宅配業へ転職。オーナーの引退に伴い、VEGGIE YA(ベジ家)を創業。ニューヨークのマンハッタン・ブルックリン・クイーンズを主に、野菜の宅配を行う。(2024年1月現在)

☆VEGGIE YA(ベジ家)HP:https://veggieya.nyc/pages/about
☆VEGGIE YA(ベジ家)Instagram:https://www.instagram.com/veggieyanyc

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