海外旅行から始まるキャリアもある
会った瞬間からみなぎるパッションを感じる“ミスターベトナム”こと嶋崎さん。素敵な笑顔で接してくださる背景には、新卒から3年の間にキャリアに迷った経験があるとのこと。今回、そんなキャリアの迷いをどのようにして解決されたのか、インタビューを通じて嶋崎さんのターニングポイントに迫りました。
くすぶっていた新卒入社の3年間
―まずは、今までのご経歴を教えてください。
新卒で営業会社に入社し新規営業と物流関係の会社で約4年ほど働きました。26歳で退職し、約1年間の世界一周の旅に出ました。帰国して半年間ITの勉強をした後、現在の会社に中途入社しました。日本で1年半の勤務後、ベトナムへ異動となり2016年から約8年間ハノイに駐在しています。
―新卒入社した会社を早期退職するのは勇気がいる選択だと思います。僕もそうでした(笑)。その時の心情の変化などを教えてください。
当時は、自己分析や業界研究などせず、何となく会社に入社して、何となく社会に出た印象がありました。「30歳ぐらいまでには起業したい、であれば営業だろう。」という漠然とした理由から最初の会社を選びます。ただ、社会に出て数年働く中で「このままでいいのか?」「この会社で働き続けていいのか?」とよく考えていました。20代前半の方で「自分はもっとできる。」「何者にでもなれる。」と思う方は多いと思いますが、私もまさにそのような感じでした。
―26歳の時に世界一周旅行への決断をされた訳ですが、きっかけなどはありましたか?
沢木耕太郎さんの旅する力を読んだことがあります。沢木さんの有名な著である深夜特急の制作秘話という位置づけの本です。そこに旅の適齢期は26歳と書かれていて、転職の機会も重なったので決断するなら今しかない!と思い、世界一周旅行に出る決断しました。資金は当時、自分でお店を持ちたいとも考えていたので、ある程度の貯金があったのでそれを切り崩して旅を行いました。
キャリアの道しるべとなった世界一周
―どのようなテーマで世界一周をされましたか?
旅行を通じて、自分自身を見つめ直すということをテーマとして、約32カ国巡りました。学生時代からの目標でもありますが、職業を固める前に一度長期間海外に出るという経験をしたかったのが大きな理由です。海外の日本人がどのような生活や仕事をしているのか気になり、行く先々で色々な方に「どんな人生を歩んできているか」話を聞きながら旅行をしました。社会人はもちろん、既に退職されセカンドライフを満喫中の方など多種多様です。
―32カ国を巡る中で、運命の出会いや印象に残ったできごとはありましたか?
ブラジルの「弓場農場」が印象的でしたね。サンパウロから車で12時間の場所にある日系三世の村です。その村の方々はブラジル国籍なのですが、共通言語は日本語です。日本人バックパッカーが流れ着いて生活していたり、日本から夫婦で移住された方もいました。私も2か月間働かせていただきました。働く中で、日本人とは?・日本人のアイデンティティは?と考えるきっかけとなり、改めて日本に対する誇りを感じるきっかけとなりました。
―旅での経験や交流を通じて、やりたいことは見つかりましたか?
帰国後はこれをやろうというものは見つかりました。旅を通じて「自分史」というものを作り、昔幼少期に得意だったことや、良く褒められたようなことをヒントに、自分の得意なこと・適正を生かせることを探しました。誰にでもあると思いますが、知らぬ間に第三者からの刷り込みで、気づいたら身の丈に合わない人生を進んでしまうことは多いと思いますが、そうではなく自分の適性合った仕事を探すようにしました。
―嶋崎さんの得意なこと・適正を生かせる仕事は何でしたか?
何かを作るクリエイティブ系の仕事が向いていると考えました。旅中にいいご縁もあり、今のクリエイティブ業界に入ることを決めました。ただ、帰国後は漠然と日本だけで働くのではなく、より海外を舞台に日本と海外を繋ぐような仕事をしようとも決めていました。未経験の領域ではありましたが、自分の性格にもマッチしている仕事だと思いました。
やりたいことがないなら一度、海外へ!
―26歳で世界一周を経験し、現在はベトナムで働かれている中で、若者について思うことはありますか?
YouTubeやSNSを見ると、ベトナムも含めて海外をテーマにした企画が多く、とてもいいことだと思います。今後、海外で働く方や移住する方が増えれば、世界から客観的に日本を見る機会も増えるでしょう。それが日本を良くするためのアイディアや改善に繋がると思います。
―最後に若者へのメッセージがあればお願いします。
私の経験を踏まえてお伝えできることがあるとすれば、悶々としているならまずは一度海外へ出てみてください。皆さんの中にも、「何をしたいか分からない」「好きなことが分からない」とくすぶっていたり、やりたいこと探しに時間を費やしている人は、視野を広げるためにも思い切って一度海外に出て働いてみるのがいいと思います。海外で働いて気づいたことですが、新卒から海外で現地採用で就職している方も多いということです。働くことがハードルが高いのであれば、まずはベトナムやタイ、または韓国など日本から旅行のしやすい国に短期旅行から始めてみてください。
海外旅行から始まるキャリアもある。
20代はレールを外れても大丈夫です。20代でしかできないような海外経験をしてください。漠然と30歳くらいまでにこんなことで頑張ってみようと決められるように動いてみてください。
嶋崎 豊(IT企業ベトナム駐在員)
ベトナム駐在8年目(2023年7月現在)。東京都出身。ベトナム・ハノイ在住。大学卒業後、営業会社へ入社。26歳の時に約1年間の世界一周を経験。帰国後、現在の会社へ入社し1年半の日本勤務後、ベトナム・ハノイへ異動。約3年半ITオフショア管理者を経て、2019年に現地法人立ち上げ。約8年間現地観光メディアの運営と2023年現在は出版事業を運営中。