早く行くなら一人で行け。遠く行くならみんなで行け
生まれも育ちも石川県。金沢大学卒業後、石川テレビに入社し勤務されていた山本さん。現在は休職し、青年海外協力隊としてベトナムテレビで働かれています。家庭を持ちながら海外へ挑戦した理由には、地元への想いが込められていました。(2023年8月取材時)
ふるさと・石川県のために働く
石川県で生まれ育った山本さん。石川のために働くと決めたのは高校時代でした。
「両親が転勤族で育ったため、ふるさとが無く、親からふるさとを大切にしなさい。と言われて育ちました。そのため、なんとなく石川のために働くんだろうな~と思っていました。高校卒業時に金沢大学に進学すると決断して以降、人生のミッションが定まりました。」
石川のために働くと決めて、石川テレビに入社した山本さん。20代のうちは必死に働く毎日でした。
「とにかく毎日ガムシャラに働いていました。テレビ業界自体も絶好調でしたし、普通にサラリーマンをやっていれば給料もそこそこいい。いい人生を送れると思っていました。」
しかし、山本さんの想いとは反して、インターネットの普及によりテレビ局は衰退傾向に、、、。それと同時にテレビ局員として、地方から若者がどんどん流出する傾向を目の当たりにしました。
「30代になると、テレビ局自体はもちろん、若い人が流出して、将来立ち行かなくなる未来がチラチラ見えてくるようになりました。自分の置かれたステージや田舎がだんだん弱くなっていく。その現状を見た時に、自分を奮い立たせる感情が湧いてきました。ずっと石川県に住んでいる人間だったので、少しでも夢が持てるように変えていきたい想いが出てきたのもこの時期です。」
「日本の地方で作れるものを考えた時に、日本のもともとの良さを生かしながら、日本を応援してくれる・好きでいてくれる外国人と協力して、お互いがWin-Winに盛り上げていける仕組みを作ることが大事だと思い、海外へ目が向きました。」
ベトナムと地方の架け橋へ
日本の地方とテレビ局を元気にしたい。その想いのもと海外に目が向いた山本さん。ベトナムに焦点を絞った理由は、在日ベトナム人の多さでした。
「石川県に住む外国人で一番多い国がベトナム人。日本全体でみても中国人に次いで2番目に多いです。しかし、ベトナム人の需要に日本が追い付いていないのでは?と疑問を覚えました。電車を利用しても英語・中国語・韓国語の案内はあるけど、ベトナム語は無い。そこで、ベトナムに特化したメディアを作れれば、地方発で日本全国に役に立つ確信があったので、ベトナム一本で勝負することに決めました。」
家庭を持ちつつ海外挑戦を決めた山本さん。挑戦するにあたり、家族とのコミュニケーションも重要でした。
「もちろん家庭を持つと、そっちが最優先にはなります。しかし、家庭の事情を加味してでも海外に行く説得は必要でした。僕が海外に行くことで家族にどのようなメリットがあるのかです。僕のミッションが【地方を何とか元気にしたい】でしたので、それを達成するための道筋を立てて、コミュニケーションを重ねました。」
山本さんは、地方を元気にするための海外挑戦で、JICAの海外青年協力隊を活用しました。その海外青年協力隊についてもいい面と、もっと良くなる点はあるそうです。
「出国前に必要な知識を身に付けた上で、飛び込める仕組みは非常に魅力的だと思います。また、現地にJICAの事務所もあるので、困った時にサポートを受けられる体制には非常に助かっています。しかし、僕みたいにバリバリ働かなくてはならない世代が、この仕組みを使って海外に来るのは難しい点でもあります。もちろんボランティアなので無給です。セカンドキャリアを掴むために、JICAを使って日本のために何かをする仕掛け作りに今後は期待しています。」
早く行くなら一人で行け。遠くへ行くならみんなで行け
現在は、ベトナムテレビでご活躍されている一方、TikTokでは50万フォロワーを獲得し、ベトナムで人気のTikTokerでもある山本さん。そんな、山本さんの座右の銘は、【はやく行くなら一人で行け、遠くへ行くならみんなで行け】
「日本において、組織で何か物事を決めるのが多く、会社内で何か考えて事業を起こすのはものすごく莫大なエネルギーと才能と力が必要になります。しかし、個人で発信できる時代においては、1人の力でいろんなことをやってみることが大切です。そこで何か芽が出た時に、事業として、チームや会社、組織を通じてみんなでやるのが最速の道だと考えます。」
「私が今やっているTikTokはまさにそうで、ベトナム人に刺さるメディアを組織でやろうとすると莫大な費用が必要です。けれども一人でやった結果、僕は1年で50万人のフォロワーを作ることができました。しかも無料で。これからは日本に帰って自分が作ったものを元に、チームとしてどのように活用できるのかを組織で考え、日本全体のためになるようなものにしていきたいです。」
海外でのご経験とリアルの声を共有して頂いた山本さん。最後に若者へのメッセージをお聞きしました。
「広い視野を持って、違いを楽しんで欲しいです。自分と違う境遇の人たちの意見を取り入れ、どう成長していくか。あまり成長ができてない日本においてこれからすごく大事になってくるだろうと思います。」
「また、自分の成長を見える化することも大事だと思います。成長を体感できなくても見える化することで、成長を実感できる。ほんとに些細なことでも、ブログを書いたり、動画作成でもいいと思います。自分がちゃんと成長できているなってことを何かしらの形で、自分に伝えてあげてください。」
山本 岳人(たけそーん)
1982年石川県生まれ。金沢大学卒業後、石川テレビに入局し報道記者として従事。2021年から同局を休職し、青年海外協力隊に参加。ベトナムテレビに着任し、日本語情報番組に従事している。また、TikTok活動もされており、フォロワー数50万の人気TikTokerでもある。
Twitterアカウント:https://twitter.com/gakujin_asia?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
TikTokアカウント:https://www.tiktok.com/@gakujin_asia
ベトナム挑戦の詳しい経緯:https://vietgj.com/thankyou/