【リーゼントマネージャー】岡田 兵吾ロングインタビュー【後編】
「リーゼントマネージャー」こと岡田さんに前編では、海外でのご経験を踏まえ、若者が歩むキャリアパスのアドバイスをお伺いしました。
後編では、約20年海外でご活躍されてきた岡田さんの視点から、今の日本に思うことと、日本人がいろんな国籍の人とコミュニケーションをとる方法をお伺いしました。最後に、日本の若者へのメッセージも頂きました。
日本は ”Super country”
日本人はスーパーカントリーであることに誇りを持つべき
岡田さん:世界の日本に対する認識は「小さな島国」ではなく、「ビックカントリー」でありますし、その事実を日本のみなさんに知って欲しいです。人口は世界12位、GDP世界3位の超経済大国(2023年8月現在)。日本食は海外でも人気で、日本の飲食店やドン・キホーテみたいな小売店も海外にはたくさんあります。アニメなどのソフトコンテンツも、世界各国から非常に評価されています。
海外の人にとっては日本は憧れの国で、みんな日本に行きたいと言います。世界一安全で、綺麗で、全てが整っている。素晴らしい面がたくさんあることに対し、日本人は誇りを持った方がいいと思います。客観的に見ていると、過小評価しすぎな気がします。
さらに、日本はセカンドチャンスを掴みやすい国だと思います。大学まで文系だとしても、SEなど理系の仕事ができる。教育も5教科だけでなく、幅広い学問を学んできている。たとえ何かを失敗しても、敗者復活で生き残ることができる点は、他国に無い日本の強みではないでしょうか。
変わる勇気を持つこと
岡田さん:もちろん日本にも課題はあって、一番はデジタル化など変化の波に対応できていない点です。日本人は今までが良かったためか、変わることに抵抗する人や、現状を変えたくない勢力が多い気がします。コロナでオンラインでの仕事がノーマルになりましたが、コロナが明けた今は対面に戻す企業も多い。新しく変わろうとしない人が多いのが残念です。
だからこそ、若い人には世界を見て欲しいです。若い時こそ、まったく新しい様々な感性を磨いてください。外国だけでなく、日本国内であっても、今いる環境とはまったく異なる世界や社会に出ることによって、自分の常識が非常識だと気付くし、違う常識もあると分かります。環境を変えることの利点として、今まで見たことない世界を知ることができるので、自分を変える一歩になります。
ドラマ化された漫画「今日から俺は‼」でも、主人公の三橋は転校をキッカケに変わることができました。それは、環境を変えたから自分を変えることができたはずです。皆さんには是非、日本の外に出て自分を変える・日本や世界を変えるきっかけを掴んで欲しいです。
たかが英語、されど英語
大きく分けて2つの海外で働く方法
岡田さん:海外で働いている日本人は、案外英語を使わずに仕事をしていたりします。ローカルとの繋がりよりも、日本人との繋がりで仕事が回る人も多く、またジャパンデスクのように日本や日本人向けのサービスを担当する部署であれば、日本語で仕事ができます。
しかし、英語や現地語を使って仕事をしたいのであれば、現地企業やスタートアップ、日系企業でも英語を使った仕事を求められる現地採用や、マイクロソフトなどの欧米企業で働くのはお勧めです。欧米企業(主にテック企業)はリストラが多いので、その覚悟は必要ですが、グローバルな仕事を学ぶにはお勧めです。海外で働くことを希望される場合、必ずしも英語がカンペキにできなくても大丈夫なので、興味がある国で働く機会を前向きに探ってみてください。
外国人と信頼関係を築くなら英語は必要不可欠
岡田さん:先ほど、英語力が完全に身に付いていなくても大丈夫と言いましたが、ローカルで仕事をしたり、外国人と深い信頼関係を築くなら、英語は絶対必要です。一定数の人は、「AIで翻訳できる」「ポケトークがある」と言うかもしれませんが、リアルに話す時に変換器を通すのでは圧倒的に遅れが生じます。たとえネイティブより英語が上手くなくても、「あなたを信じてこれを一緒にやっていこう」と言われる「グローバルコミュニケーション」ができて、信頼関係を築くことができる英語力が必要不可欠になってきます。
私も海外で働き出した当初は、英語ができなくて何度も心が折れそうになりました。しかし、その度に英語を死ぬ気で勉強し、マインドセットも変えました。“相手の評価は最初の20秒で決まる”と言われるので、堂々と臆せず話すために鏡の前でたくさん英語を話しましたし、パンデミック前はオフラインミーティングに備え、体を大きく見せるために腕立てなどでパンプアップもしたりしました。
静かな日本人が外国人とコミュニケーションを取るヒント
人それぞれにスゴイものがある
岡田さん:日本人はよく内向的だと言われますが、もちろん私も内向的です。内向的な人への期待としては、「多くは語らないが細部まで気が配れたり、慎重に物事を捉えて管理できる」ことだと思います。もちろんこれだけではないですが、たとえ外向的じゃなくても、自分の強みを徹底的に伸ばして発揮すればいいと思います。
あとは、言うべき時にしっかりと発言ができる。分からないことは素直に聞けることです。日本の企業で働いていてもそうですが、仕事とはただ仕事をこなす事ではなく、より大きなインパクトと成果を残すことです。人それぞれに何かスゴイものが必ずあります。これを読むあなたにも必ずあります。徐々に自分の得意なものとか、挑戦していることを通じて、喜ばれることをやるうちに、スゴイものが出てくる。それを信じてやり続けてください。
日本の若者(Z世代)へのメッセージ
岡田さん:自分で壁を作らず、なんでもいいのでやりたいことに挑戦してください。感性が異なる人に会ってみるでもいいですし、海外に出て様々な国・文化・民族の人ににあうこともお勧めです。自分が「これはダメだ。やっちゃいけない」とストップをかけるのではなく、「でも」の言い訳をする前に自分の無限の可能性を信じて、夢大きく志高く、自分を奮い立たせながら挑戦してみてください。自身の知識の幅を広げることは、絶対に無駄になりません。
また、その挑戦を短期的な成功で見すぎず、3年でも5年でもいいから長期視点で頑張ることも大事です。英語の上達でもそう。一か月やそこらで上手くなるのは難しいです。でも、3年で見たら結構上達するし、10年だったらかなりのレベルに到達するものです。英語だけでなく、夢や目標は長期プランでみながらゆとりをもって成し得てください。
STAY GOLD!
岡田 兵吾
マイクロソフト シンガポール アジア太平洋地区ライセンスコントラクトコンプライアンス本部 本部長 兼 グローバルリーダーシップメンバー
アクセンチュア、デロイトコンサルティング、マイクロソフトにて、日本・アメリカ・シンガポールを拠点に26年間勤務。NHK Eテレ、TOKYO MXテレビ、NewsPicks、PIVOTなどメディア出演多数。シンガポールドラッカー学会元理事。IE Business Schoolアルムナイ・シンガポール支部初代会長。著書に『残念なビジネス英語』(アルク)、『武器になるグローバル力 外国人と働くときに知っておくべき51の指針』(KADOKAWA)、『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社)がある。『ビジネス現場で即効で使える 非ネイティブエリート最強英語フレーズ550』(ダイヤモンド社)はAmazon「ビジネス英語一般」9か月連続1位。韓国、台湾でも翻訳されベストセラーとなっている。Twitter:@phoenix_hugo
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