コラム

世界のキャリアに出会う旅~半年間の世界一周を終えて~

コラム

世界のキャリアに出会う旅【完】

2023年7月22日~2024年1月17日の半年間に及ぶ世界一周を終了しました。「新たな挑戦ができる」という大きな期待と、事件・事故や今後のキャリアに対する小さな不安を抱えて出国してから、様々な出会いや経験を通じ帰国しました。幸いにも事件・事故に巻き込まれることもなく(小さな事件は幾つもありましたが)、プロジェクトを終了することができました。ここに、「世界のキャリアに出会う旅/SAMURAI STRANGERS PROJECT」のまとめを報告します。

 

長いようで短く、短いようで長かった旅

この旅をひとことで表すと、「長いようで短く、短いようで長かった旅」でした。

構想を打ち出したのが2022年9月。企画書を作成し、それを友達や知人に見せてフィードバックをもらいながら計画を進めました。2023年1月からの3か月間は英語力向上のためにセブ島へ語学留学し、帰国後も世界一周コミュニティへ参加しました。スポンサーを付けて旅をするべく、個人で協賛活動も行い、準備期間を含めると1年5カ月間にも及ぶプロジェクトでした。

旅中も、はじめの2カ月は試行錯誤の日々。初めての記事作成や、国や都市を変えながらインタビューを実施する毎日を過ごし、今行っていることが正しいのか不安になることもありました。そんな中でも、インタビューさせていただいた方々の熱のこもったお話を聞き、自分のやっていることは間違っていないと再認識できました。「早く終わらないかな」と思ったこともあるこのプロジェクトを実施できた一番の要因は、あらゆる方に支えられながら、「未来の自分のため」「日本の若者のために」という当初立てた目的達成への意欲が一番大きかったかと思います。

最終目的地である23カ国目のアメリカ・ニューヨーク。

未来の自分のために

海外駐在を目指していた就活・前職時代。大学時代は「海外で影響力のある仕事をしたい」と思っていたのにも関わらず、いつからか「海外駐在」が手段ではなく、最大の目的となっていました。

駐在以外で活躍する手段がイマイチ分からなかった自分。そのモヤモヤを解消すべく、海外で活躍されている日本人を知ることで、キャリアパスのロールモデルが見つかると考え、プロジェクトを開始しました。インタビューでキャリアに対する考えを聞き、今後のキャリアパスへ転用するまでは終われない。その気持ちを常に持っていたからこそ、プロジェクトを完結することができました。

フィンランドのスタートアップ拠点である「maria01」。あらゆるキャリアを見ることができました。

記事を読んでくださる人のために、そして日本のために

日本経済は暗いニュースばかり。
経済成長は停滞し、「失った30年」しか知らない私と同世代の若者。同時に、デジタルネイティブ世代で、あらゆる情報をネットで集めたり、発信することが当たり前になっています。AIの発達により、ネットを開けば自分が関心を持つ話題しか流れなくなり、一つのコトに対して探求できるものの、視野を広げることが難しいと感じる世代でもあります。経済停滞や少子高齢化、グローバル化が進む日本において海外との繋がり、ましてや、海外から外貨を獲得することが重要ではないかという仮説を大学時代から持ちました。

海を飛び越え、海外に興味を持つ。海外でのキャリアや外国人との共存を考えてみる。そういったキッカケを与えることはできないか。その一心でこのプロジェクトは始まり、海外日本人の情報を届けることが使命となりました。大谷翔平選手や三笘薫選手などのスポーツ選手の活躍が日本で伝えられるように。海外で活躍する方の情報が日本に伝わるのが当たり前となりように。日本が合わないと感じる人の光となるように。微力化もしれませんが、目的意識を持ったことでプロジェクトを遂行することができました。

ケニア・ナイロビのダウンタウン。日本から遠いアフリカや南米でも日本人はご活躍されています。

海の向こうで勇敢に戦う52人の挑戦者たち

今回のプロジェクトで、400以上の個人・団体様に取材依頼を送付し、52人の方にインタビューをさせていただきました。日本を離れ、文化も言語も人種も宗教も全てが異なる環境にてご活躍されている日本人。以下の3点が特に印象的でした。

  1. キャリアに対する悩みをメタ認知し、目標に向かって挑戦している
  2. どのようなスキルや職能を身に付け、どこで活かせるかを重視されている
  3. 異国の地でも日本人としてのアイデンティティを持っている

 

1.キャリアに対する悩みをメタ認知し、目標に向かって挑戦している

このプロジェクトを開始するまでは、「海外で活躍している人は、思い通りのキャリアパスを歩んでいて、これからも思い描いたキャリアを歩むのだろう」と考えていました。しかし、実際にインタビューをすると、旅前に考えていた仮説は間違いだったと気づきます。

背景やこれまでの人生の歴史があり、その延長線上に今があります。未来のことは確かではなく、大なり小なりキャリアに対する不安をお持ちでした。ましてや、予定調和通りにいかない海外。不確実性は日本よりもはるかに高い環境にて、キャリアを歩まれています。

そういった環境下においても、キャリアに対する不安をメタ認知し、将来の大きな目標と現在の立ち位置を踏まえて、キャリアをデザインする能力が非常に高いと感じました。将来の自分へ向かい、定期的にルート変更や、あらゆる道を組み合わせてゴールへの道筋をデザインしながら歩みを進めておられました。

ロンドンのビックベン

 

2.どのようなスキルや職能を身に付け、どこで活かせるかを重視されている

就活・前職時代の私は、「海外で活躍したい」という環境面にフォーカスした目標を持っていました。しかし、インタビューを通じて、海外で活躍するためにはスキルや職能が無いと通用しないと感じました。日本企業のようなメンバーシップ型雇用ではなく、ジョブ型雇用の世界に身を置いている方々は身を持って体感しており、スキルや職能を重要視されています。

日系企業の海外駐在や、自ら活動している方も同様に、一定の業界にて通用するスキルや自分ができることにフォーカスしながら成長し、より高い次元へのレベルアップを図っていました。仕事上で結果を出せずに「クビになるのではないか」という恐怖を毎日持っていたという方もいらっしゃいました。言語という壁がある中で、ネイティブスピーカーと比較し評価される世界。言語にも勝るスキルや、職能の重要性を実感しました。

ニューヨークの都市部。アメリカは特にスキルや職能で判断される世界です。

 

3.異国の地でも日本人としてのアイデンティティを持っている

このプロジェクトを通して、インタビューさせていただいた全ての方へ「現状の日本に対する印象」を質問しました。実は、好意的な回答をされる方は少なく、否定的な回答をされる方が圧倒的に多くありました。

好意的な回答は、食・安全・綺麗の3拍子で一括りにできるかと思います。否定的な回答については、人それぞれで異なり、経済状況・政治・制度・国民性・教育など幅広くありました。否定的な回答がここまで多くなるとは思っておらず、悲観的な感情にもなりました。

しかし、各々が日本に対する問題意識や課題意識を持っており、仕事や個人的な活動を通じて解決しようとされていました。枕詞に付いていたのは「日本のために~」。たとえ、異国の地だとしても日本への強い想いを持っており、日本のためにアクションを取っていました。

シンガポールのマーライオン

さいごに

このプロジェクトを完遂できたのは私の力ではなく、身元も分からない私からの取材依頼を快くお引き受け頂いた52人のおかげだと考えております。アポイントやインタビュー中、記事作成時には大変ご迷惑をおかけすることもあり、おんぶにだっこ状態だったかもしれません。それもで、ご丁寧に対応いただいた皆様には大変感謝しております。

また、今回の旅で協賛していただいた3名へ感謝申し上げます。旅中にもインタビュー以外で数多くの日本人の方にお会いし、ご一緒させていただくことがありました。大変ありがとうございました。もちろん、各地各都市でお世話になった現地の方や、同じ旅行者の方には数多く助けていただき、安全に旅を終えることができました。そして、インタビュー記事を読んでくださっている読者の方へも感謝申し上げます。ありがとうございました。

このプロジェクトは終了しますが、キャリアに関しては、むしろここからがスタートです。今よりも大きく成長した姿を皆様の前に現わせたらと思います。この個人ブログ自体も今後の活用方法を現在検討しておりますので、決まり次第ご報告できればと思います。

改めまして、本当にありがとうございました。
これからも、何卒よろしくお願いいたします。

※noteでも旅の振り返りをしています。
https://note.com/samurai_stranger/n/ncaa50570d828

タイトルとURLをコピーしました