”リクルーティング”と”テック”を武器にグローバルで活躍されている下村さんインタビュー
日系・外資大手企業やメガベンチャーにてそれぞれ人事を務め、イギリス・シンガポール・アメリカでの海外勤務も経験。2021年から「面白い人と人を繋ぐ」使命のもと、アメリカ・ロサンゼルスにてLraoughを創業。今回は、海外経験も豊富で、人事領域に知見のある下村さんにインタビューしました。誰しも憧れるようなキャリアパスの根本には、「人と人の繋がり」がありました。
日系・外資大手企業の人事を務めた先に見つけた“それぞれの面白さ”
新卒で日系の人材紹介会社へ入社し、2年間の勤務後イギリスで起業されました。学生時代から興味のあった海外で1年間と期限を決めてビジネスを行い、その後、転職活動に専念された下村さん。新入社員からリクルーティングという人事領域に携わり、イギリスでのビジネス経験を踏まえ、大手外資IT企業での勤務を開始されました。
下村さん:海外で会社経営していたことや英語が話せたこと、リクルーティングの経験を評価され、外資系企業へ転職しました。社員はみんなワクワクしながら楽しそうに仕事を行っており、衝撃を受けました。人事の仕事と聞くと、面白くなさそうな印象を持たれがちですが、働き方や仕事の進め方によって、面白くもできます。会社を創り上げるのは人ですし、事業や経営をアクセラレートできる視点が身に付いたことは、私にとっての財産です。経営層とも話す機会が多かったですし、エキサイティングな経験で楽しみながら仕事ができました。改めて振り返ると当時の経験が、現在行っているテック系かつ人事領域の事業に繋がっていると感じます。
その後、メガベンチャーであるDeNA本社へ転職し、30歳を境にシンガポールへ転籍することになります。会社のカルチャーにもかなり影響を受け、学びも多かったそうです。
下村さん:DeNAは頭が良い社員がバリバリ働いており、ビジネスマンとして最強な人がたくさんいる環境だなと感じました。日々、そういった優秀な社員と意見交換をする中で、自分のポテンシャルを発揮することができ、会社や事業にも多少貢献できかなと思います。厳しい環境で働けたので他の企業で勤めても、自分で事業を興す際にも、あらゆる課題を乗り越えられたと思いますし、前職とは違った面白さがありました。
日米を代表する企業のリクルーティングを担当された下村さんが感じる、「やりがい」とは何だったのでしょうか。
下村さん:出逢ったことのない人に出会って、対話しながら気づきを得ることです。人事領域全体としてもそうかと思いますが、リクルーティングを担当していると、新しい領域・仕事や、独創的な仕事をしている人に触れる機会が非常に多いです。日米それぞれの企業で、いろんな人と出逢い、お話できたことはやりがいとなりましたし、その後のキャリアや人生観に大きく影響を受けました。
面白い人を繋ぐ生業を自分の手で目指したアメリカでの起業
これまでのテックとリクルーティングの経験を活かし、2021年にアメリカ・ロサンゼルスで、出逢いを創出するLraough(ラフ)を創業されました。
下村さん:これまでロンドンやシンガポールで、面白い人と面白い人を繋げてきました。その行為に対し、周りから凄く感謝されることが多く、自分で「事業化できないかな」と感じていました。人と人を繋げる行為をこの先の人生も続けたら、自分がワクワクしながら過ごしていけると思いましたし、楽しく生きていけるなという実感がありました。グリーンカード(アメリカの永住権)を取得できたタイミングでもあったので、ロサンゼルスで起業しました。
日本とは文化の異なる海外での生活が長い中、大変なことはないのでしょうか。
下村さん:自分から望んで海を渡ったので、そもそも大変なことだと感じることは少ないです。自分で望んでいることに対しては、多少つまずいても、受け入れて勝手に乗り越えると思います。当初は英語も話せなかったですし、人事なので大変な仕事をする必要もあるのですが、課題があってもその度に周りに支えられながら解決して乗り越えることが出来ました。
この先のキャリアパスやビジョンはどのようにお考えでしょうか。
下村さん:グローバルに挑戦したいと思う人がいる時に、サポートできる会社や個人であり続けたいです。日本の産業や市況が良くない中で、海外に出たいと考える組織や個人が増えています。そういった流れを私の事業や、個人でアクセラレートできたら幸せです。
日本と海外の違い~日本は居心地がいい国~
ロンドン・シンガポール・アメリカ。3カ国でビジネス経験があり、海外歴は10年以上。それぞれの国に精通する下村さんにとって、日本と海外のビジネスの違いはどのように映っているのでしょうか?
下村さん:まずは個人への責任の大きさは全く異なります。日本の企業も欧米のやり方を取り入れる潮流があると思いますが、日本の法律や人事制度によって、ある程度従業員は守られていると思います。一方、海外だと仕事の出来やキャリアに対して誰も責任を取ってくれないので、とてもシビアな世界です。私が滞在経験のある国は多少の違いはあれど、どこもこのような文化がありました。
その反面、特にアメリカだと個人と組織の関係は対等という考えがある感じがします。日本だと、組織が個人の上、もしくは個人が組織の中にある感覚があり、ある組織に所属したら個人よりもその組織への成果を出す必要がある場合が多いかと思います。海外だと自分がキャリアの主導権を持ち、会社との対話も個人で積極的に行います。
漠然とした危機感を持ってアクションは起こせる
長年の海外経験を踏まえ、日本人へアドバイスはありますでしょうか。
下村さん:産業や経済、通貨的にも大変な部分があると思いますが、多くの日本人にとって日本の生活は楽しく、居心地がいい場所と感じているはずです。他国へ行ってわざわざ苦労するよりかは、「日本にいた方が幸せ」と思っているのであれば、個人的にはその方が良いと思います。もし、少しでもそう思っていないのであれば、海外に出るべきです。日本にいるのがまずいと感じているのであれば、何かを変える方法はいくらでもあるはずです。私の場合は、将来の自分や世間に対する漠然とした危機感を持って動いてきました。居心地がいいから今の環境にとどまるのも良いとは思いますが、危機とは隣り合わせであると認識はしておく方が良いかなとは思います。
日本のサービスレベルは群を抜いて世界No.1
大局的に見ると、日本の良さはどのような点に感じているのでしょうか。
下村さん:日本はサービスレベルや食べ物、治安などあらゆる面において、群を抜いて世界一だと思います。英語が話せない国にも関わらず、インバウンドが多いということは、素晴らしい体験や経験を世界の方々は日本で感じているはずです。私のアメリカ人の友達からも「日本が羨ましい。日本に住みたい。」と言われることもあるくらいで。これは日本以外に中々無いものですし、日本が世界に誇れる点ではないでしょうか。
あなたは分かっていますか?“今しかできないこと”
これまで下村さんがご経験されてきた人事領域についてや、10年以上の海外生活を踏まえた日本と海外の違いなど幅広くお伺いしてきました。最後に、日本の若者へのメッセージをお聞きしました。
下村さん:まずは、今しかできないことがあることを認識する所からスタートしてみてください。30代より20代の方が健康ですし、結婚や出産などのライフイベントがあると、身動きがとりづらくもなります。毎日暇だと思っている20代がいるのであれば、非常にもったいないことですし、好きなことをバンバンやって欲しいです。
人事的な視点ですと、プロフェッショナルに極めた方がキャリアのためになりますし、好きなことでも仕事にできる時代になってはいるかなと。さらに、英語ができれば国内に固執することなく、海外のクライアントから仕事を取ることができます。スキルと経験、英語があれば、国内の給料と比較して倍以上を受け取ることも可能ですし、地方に住めば世界中のどこよりも良い生活が送れるかもしれません。だからこそ、自分の好きなことや身に付けたいスキルから探し、見つかったのであれば、プロフェッショナルを目指して極めてください。何をやっても良い時代です。若い方は、今しかできないことをどんどんやってみてください。
下村 拓哉
大阪府出身。立命館大学卒。大学在学中から海外を旅して人の繋がりの大切さを知る。 2年で脱サラしイギリスで起業した後、日本で廃業。結婚を機に大手外資IT企業の中でリクルーターとして働き、メガベンチャーや大手企業の本社と海外子会社で人事として従事。 3ヵ国(イギリス・シンガポール・アメリカ)10年間の海外経験とTech/Recruitingを武器に、2021年Lraoughをカリフォルニア州ロサンゼルスで創業。現在は「面白い人と人を繋ぐ」天職を生業としている。(2024年1月現在)
☆下村さんのLinkedIn:https://www.linkedin.com/in/shimotaku/ja/
☆Lraough LLCのHP:https://lraough.com/about
☆Lraough LLCのX(旧Twitter):https://twitter.com/lraough
☆Lraough LLCのYouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@lraough