What's up 日本

“昔の風景を今に写す”フランス・ディジョンで活躍する画家・村上 源太郎

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日本を飛び出し海外で活躍されている画家の村上さんインタビュー

村上 源太郎

1991年生まれ。愛媛県今治市出身。2010年に地元の高校を卒業し、フランス・ディジョンの大学付属語学学校へ入学。翌11年にシャロン・シュル・ソーヌのフリュクチドール・メディア・美術学校(École Média Art Fructidor)へ進学。2014年からはディジョン国立高等美術学校(École Nationale Supérieure d’Art de Dijon)にて画家になるための勉学や作品制作に励み、2016年に卒業。以降、ディジョンに留まり、現在ブルゴーニュ地方を拠点に活動中。(2023年11月現在)
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父の足跡を辿りフランスへ

「画家の父から影響を受け、幼少期から絵を描くのが大好きな子供でした。中学・高校と年を重ねても絵を描くことに対する情熱は持ち続け、美術部に所属して制作活動を行っていました。」

絵を描くことがいつも身近にあり、父のアトリエで育った村上さん。高校卒業後は、日本の美大ではなく、父の後を追うようにフランスで美術を勉強することとなります。

「高校1年時の進路選択のタイミングで、家族との意見交換を通じフランスで美術を学ぶことに決めました。父がフランスで美術を学んでいたこともフランス行きを後押しし、導かれるかのように渡仏しました。フランスに来て初めの頃は大変なこともありましたが、父が良い相談相手となってくれました。私が大変だと思う時期を父も乗り越えてきたので、経験に裏打ちされた父からのアドバイスには何度も救われました。母も心配しながら陰でよく応援してくれていたと思います。」

お父様の後を辿るようにフランスで美術を学ぶべく渡仏。家族の後押しが大きな力となりました。

高校を卒業してすぐの若者にとって、言葉や文化の分からない環境に飛び込むのは未知の体験。大変なことはなかったのだろうか?

「不安もありましたし、語学学校の寮に入った最初の夜は、孤独に押し潰されそうにもなりました。ただ、入学してしまえば友達もすぐにできましたし、100年以上続いている歴史のある学校だったので、留学生の受け入れや学ぶ環境も充実しており、様々な国籍の生徒と交流でき、とても貴重な一年となりました。」

「美術学校に進学した当初は、コンセプトや倫理等の座学が多く、技術的なことを習得する機会には限界があり、やや不満を感じることもありました…。今となれば、そういった問題提起も必要な経験であったと思いますし、自主制作の時間は充実していたので、卒業までには画家の土台となる技術を身につけることができたのではないかと思います。」

「10年はフランスでやり切る」想い

美術学校を卒業し、いよいよ一人の画家として社会に出ることに。活動の場として選んだ場所は、日本ではなくフランスでした。

「4年生になった時に恩師からの紹介でスイスのギャラリストに出会い、すでに所属していた若手アーティストと2人展を開催していただく機会に恵まれました。卒業後の2017年に同ギャラリーで開催した個展をきっかけに自分の絵が徐々に売れるようになり、自分自身で生計が立てていけるようになりました。」

職人は、一人前になるのに10年かかると言われます。村上さんもある種「職人気質」な性格なのかもしれません。

プロとして、まず10年は様子を見てみようと思い、フランスでの画家人生を歩み出しました。2017年デビューなので、おおよそ2027年までは”お試し期間”。1日2日で上達したり、急に売れるようになるわけではない。手に職が付くまで最低10年はかかると言われますし、それに倣って10年はフランスでやり切ろうと考えています。

10年はフランスでやり切る。村上さんの挑戦は続きます。

「出会い」でこれまでを築き、「出会い」でこれからの画家人生を築く

画家として身を立て、現在はフランス有数の美術館であるディジョン美術館 (Musée des Beaux-Arts de Dijon) で2024年1月22日まで開催されているアジア美術コレクションをテーマとした企画展、”À portée d’Asie” に唯一現代アートの部門で作品を展示しています。「出会い」が自分のステージを押し上げて来たと語ります。

人との出会いのおかげで今の自分があると感じます。もちろん人間は1人では決して生きていけませんし、現状僕は金銭面だけでなく精神面でも多くの人たちに支えられています。絵を買って応援してくださる方がいらっしゃいますし、そういった方々が、さらに周りの友人たちに紹介してくださり、また絵を買ってくださる。どんどん輪が広がっていった結果、個展や今回の展覧会にも結びついています。出会いは僕の絵作りともマッチしていますし、そういった人の繋がりの重要性を日々ひしひしと感じています。

今後についても、運命的な出会いが自分を新たなステージへ導いて行ってくれると感じますし、チャンスは訪れるべくして訪れるはずです。新しいギャラリーが見つかったり、個展を開催できる機会に巡り合う時は、そういった時でしょう。だからこそ、そのために常に絵を描ける環境は守り続けたいです。アトリエを借りたり、キャンパスや絵の具を買うのにはもちろんお金が必要なので、いつでも準備できる状態を保っておきたいです。また、制作活動はもちろん、様々な職業や境遇の方と繋がりたいですし、出会いをたくさん作る活動はこれからも心がけていきたいです。

2024年1月までディジョン美術館にて開催されている”À portée d’Asie”に出展されている村上さんの作品の数々。

人が見て仕上がる作品

村上さんは、1900年初頭から60年代までの人物をテーマとした作品を制作されています。絵の背景にある当時の生活や心情を想像しながら楽しむことができます。村上さんにとっての【絵】とは?

見る人のイマジネーションや想像力を通じて、一緒に作品を作り上げるものです。アートは人に見られてこそ初めてアートとして認知されるものだと思います。第三者が何かを感じ取り、作者の意図とはまた別の個人的な想いやストーリーを付け加える。それによって1つの作品が完成する。表現方法にリアリティだけでなく、モノクローム的な要素も加えているのもその所以で、見てくれる人との共同作業で作品を作り続けていきたいと日々試行錯誤しています。」

見る人とともに作り上げる作品を日々制作されています。

語学を通じて視野を広げる経験と、1日1日があなたにとってのベスト

外国人としてフランス芸術業界で活躍され、今後の活動も期待されている村上さん。最後に若者へのメッセージを頂きました。

国によっても違うと思いますが、例えば何か一つ外国語に挑戦してみる。 英語でなくとも、第二言語を学習することで、語学力+別の考え方が身に付きます。フレーズや言い回しの1つ1つにその国が辿ってきた歴史や国民性が現れます。言葉は国を映す鏡です。言語学習を通じて海外に興味を持ち、日本以外での生活や文化に触れる経験をしてみてください。互いの考え方の違いを理解したり、認め合うことができればおのずと視野が広がりますし、自身の人格形成にも大いに役立つと思います。言語を通じて新たな世界を知ってみるのはいかがでしょうか?」

「また、最近大切にしているフレーズが1日1日がその人にとってのベストです。1日何もしなかったら罪悪感に駆られるかもしれませんが、自分を責める必要はありません。どんな日であれ、誰もが毎日をその人なりに精一杯生きています。今ある自分はその日々の積み重ね。良い日も悪い日も精一杯生きている証、どうか胸を張ってください。

村上さんはフランスで注目されている若手画家のひとり。今後のご活躍にも期待が高まります。
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