What's up 日本

キャリアとは誰かに貢献すること|目の当たりにした課題を解決すべくインドでNPO法人設立【NPO法人結び手・福岡 洸太郎】

What's up 日本

インドで支援活動に従事する NPO法人結び手・福岡 洸太郎インタビュー

東京大学卒業後に約7か月間、バックパッカーで世界を周遊。その後、日本とインドで就業経験後、現在はインドの地方やスラムの支援活動するNPO法人 結び手の代表を務める福岡さん。“誰かに貢献する”想いのもと活動されている福岡さんにインタビューを実施しました。

福岡さんの活動内容について、YouTubeチャンネルで確認できます。

バックパッカーで見た現実と新たな一歩

「官僚になりたくて東大に入学しました。在学中に思想や哲学を学んだことをきっかけに、仕事とは?誰に貢献してお金をもらうのか?と考えたら答えが見つかりませんでした。誰かに影響を与えることは、誰かに悪影響を及ぼす恐れもあると思いました。考えるうちに会社に入って仕事をすることがすごく怖くなったので、就活を中止しました。」

東大に入学したものの、考えがまとまらず就活を中断。就職をせずに海外に飛び出しました。

「就活中止後に海外へバックパッカーの旅に出ました。目的は無い。フラフラする期間を過ごしました。色々な人と話す中で、外部環境が原因で努力できない人が多いことに気づきました。もしそこに生まれたら、どんな小さい目標や夢を持っても、諦めざるを得ないだろうなって思う環境です。そんな環境に、私と仲良くなった人が住んでいて、なんかこう「モヤモヤ」っとしたものが残って…。」

そのモヤモヤを紐解くと、仕事に就くためにどのようなスキルや学びが必要かを整理できて、提供することができれば、どこの誰だろうと働きたい人は頑張ればどうにかなると考えました。この考えに一番適しているのが人材業界だったので、商社を1社挟んだ後、世界最大の人材会社の日本法人に入社しました。」

「入社してすぐ、日本の若者で就職したくてもできない人たちを支援する事業にアサインされました。今は元気でコミュニケーション能力が高くても、高校時代にうつ病になってしまい、数年間の職歴がないだけでレジュメも通らない。そのような状況の若者を支援する事業です。人材会社に入社した動機と一致する仕事をすることができ、やりがいを持って仕事ができました。」

バックパッカーで目指す姿が決まった福岡さん。現在はインドを飛び回っています。

インドに求めた光

日本の人材業界で働いた後、インドへ活躍の場を移すことになります。

「日本で働いている間も、バックパッカーで出会った人のことを忘れず、モヤモヤする気持ちはありました。ちょうどアサインされていた業務が任期を迎えた際、外部環境が原因で努力できない人のためにできることをしたいと思い、転職活動をすることにしました。ただ、社会活動の経験や知識、繋がりも何もないことから、外人がただ行って何もできずに終わるのは嫌でした。ズカズカと人の家に入り、アイツ何だよとなるのは嫌だし、邪魔はしたくなかった。外人が行っても価値を出せそうな国を軸に検討し、選んだのがインドでした。

「インドにはカースト制度が根強く残り、貧富の格差が非常に大きいです。また、富を持っている人が貧困層のために何かしたいと思っても、富裕層は入りずらい状況がある。たとえ支援をしたくても、富裕層が貧困層に直接アプローチすることがタブーという考えがあり、実際にそのような声をよく聞きます。この状況を考えた時に、私は外人としてカーストに縛られることなく、どちらの層ともフランクに接することができるし、仲介することができる。上記の点でインドに行くことを決意しました。」

「キャリアを求める」ではなく、「誰かに貢献する手段がキャリア」

日系転職エージェントのインド支店で1年10カ月ほど在籍した後、インドの地方にスマホを供給する事業を行う株式会社アメグミのインド子会社代表に就任します。

「ちょうどコロナが始まった2020年4月に、株式会社アメグミのインド子会社を立ち上げ、代表に就任しました。インドでは厳しいロックダウンがあり、各学校はオンライン授業を実施していました。しかし、地方の子供たちはスマホなどの通信機器を持っておらず、教育を受けられない現状がありました。そういう子供たちに、スマホを無料で提供することで教育の機会を提供するような活動をはじめました。」

「スマホ供給事業を行う最中、都市部へ出稼ぎに行っていた各家族のお父さんもコロナ不況で仕事を失い、地元へ帰ってくるようになりました。帰った村には仕事もお金もない。稼げないから食べることができない。家族を養えないことに悩み、自殺するお父さんが多くなっていると耳にしました。とにかく食べるものさえ確保できれば、いつかロックダウンが開けた先に明かりが灯るかもしれない。そこで日本の方から寄付をお預かりし、2020年に食料支援をインドの地方で行いました。

「2020年に支援した地域に2021年も支援することになりました。1年後に戻ってきた際、この1年は改善どころか何もできなかった1年だったと感じ、悔しさがこみ上げました。ある意味、放置してしまったなという感覚が強く、支援という形で繋がっている人間として責任を感じました。1人でやっていても金銭面や時間をはじめ限界があり、もっと速く・大きく動いて活動しないとダメだと痛感しました。そうでもしないと自分が死ぬまでに、厳しい環境に置かれている人たちが努力できる状況を作れない。何も変えることができずに自分の人生が終わってしまう。それは嫌だと思い、一人ではなく同じ目的を持つ方とともに活動するため、結び手を創設し活動しています。

 

キャリア形成や就活で悩む20代の方に、ヒントとなるメッセージもいただきました。

キャリアとはだれかに貢献することだと思います。仕事をするだとか、会社に属するのは、誰かに何かしらの影響を与えるための手段です。だからこそ、どこの誰にどのような影響を与えるか。反対に、どこの誰にどのような影響を与えたくないか。自分が発する影響の軸を定めるのはいいと思います。

勉強=理解力を高める×伝える力を高める

外部環境で努力できない人を救う責任感のもと、結び手の代表として支援を行う福岡さん。最後に若者へのメッセージをお聞きしました。

勉強をもっとした方がいいと思います。どの年代も勉強量が不足している気がします。知識を入れたり、知恵や教養を身に付けようと頑張ったりせず、行動すればいいと思ってないでしょうか。それこそ、外国に飛び出すなどです。もちろん、体験として得られるものはあるかもしれませんが、前提となる知識を身に付けたり、与えられたことをクリアしてちゃんと成果を出せる状況を作れていないのではないでしょうか。」

【勉強=理解力を高める×伝える力を高める】です。新しいことをちゃんと頭で理解し、伝えたり表現できる。これをやりたい!と思った時は、必ず新たな分野の知識を勉強しなきゃいけません。その勉強の仕方が訓練されていると、自分のやりたいことが見つかった時に、スムーズに移行できます。たいていのことは調べれば出てくるし、AIだって使える世の中になっています。自分が思う課題は、絶対に誰かが先にその課題に対してアプローチしています。本気でやりたいことがあるなら、先人から学んだ方が速くゴールに到達できます。だからこそ、今の若い人にはもっと勉強をして欲しいです。」

 

NPO法人結び手 福岡 洸太郎

東京大学卒業後、バックパッカーで約7カ月間の世界周遊を経験。2015年に帰国後、商社へ入社し、16年に外資系人材紹介会社へ転職。18年にインドの日系人材紹介会社に転職し渡印。20年4月にスマートフォンの基本ソフト(OS)を開発する新興企業アメグミ(東京都千代田区)のインド法人を立ち上げ、代表に就任。21年にNPO団体結び手を創設。「地球上から”ここに産まれたから””ここにいるから”という言葉を無くし誰もが明日を夢見て眠ることができる世界を創る」をビジョンに、インドで様々な支援活動に従事。

☆NPO法人結び手HP:https://www.musubite.org/
☆結び手channel:https://www.youtube.com/channel/UCvAJdIOKUeWrJgbuz5vfgNQ

 

タイトルとURLをコピーしました