What's your motto

アフリカで”野生生物”と”人間の共存”という社会課題解決に挑む【米田 耕太郎】

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“蜂の力”で人間と野生のゾウの軋轢解消を目指す米田 耕太郎さんインタビュー

イノシシやクマ等が農家の作物を食べたり、人間を襲ったりするニュースは日本でも目にするのではないでしょうか。ゾウやライオン等の野生動物が数多く生息するアフリカでも、人間や作物への被害が数多く存在しています。今回は、野生のゾウと人間の軋轢解消に挑む米田さんにインタビューしました。

野性動物と人間の共生をアフリカで目指したキャリア

動物に魅せられた学生時代

現在はケニアでご活躍されている米田さん。動物との出会いはどのようなものだったのでしょうか?

米田さん:小さい頃からテレビで頻繁にやっていた動物番組をかじりつくように観たり、地元青森の豊かな自然の中で遊んだりする中で、動物が好きになりました。アフリカには野生動物が多く生息しているので、自然と「いつか行ってみたい」という、漠然とした憧れを抱くようになりました。

大学3年次になり、進路選択の時期に差し掛かった際、自分のやりたいことは何だろうと考えました。結果的に、それまで大学で学んできた「生物学」、途上国を旅する中で自然と興味を持った「国際協力」、この2つの要素を掛け合わせたものが自分のやりたいことだと考えました。そして、色々と調べていくうちに、アフリカで野生動物の保全とコミュニティ開発を上手くつなげようとする活動(=住民参加型保全)に行き着きました。その後、実際にアフリカにも渡航し、「これこそ自分がやりたかったことだ!」という感動そのままに、本格的にアフリカでの挑戦を検討するようになりました。

”動物”と”アフリカ”に魅せられた学生時代を過ごしました。【本人提供】

自分のやりたいコトが既存組織に無さそう…。なら、自分でやるしかない!

アフリカでの活動を念頭に、就活に臨んだ米田さん。しかし、自分のやりたいことは既存の組織には無いと気づきます。

米田さん:単なる野生動物の保全活動ではなく、野生動物と人間の生活を結びつけるような活動をやりたいと考えていましたが、自分の志向性と合う団体はありませんでした。野生の動物保全を実施している政府系組織やNGOはありますが、ビジネスを手段として、持続可能な活動を展開することが重要だと考えていましたし、現状の組織に入ったとしても自分のやりたいことを実現するには5~10年待つ必要がありました。だったら自分でやるしかない!と思い、ボーダレスジャパンへ入社しました。ボーダレスジャパンは、ビジネスを手段として社会課題解決を目指している会社です。社内起業で自分の事業を実現できる仕組みも整っており、先に起業した先輩方から色々吸収しながら成長できると考え、入社しました。

―ボーダレスジャパンでの経験が、その後のキャリアにおいてどのように活かされていますか?

米田さん:入社1年目はクラウドファンディングの新規事業開発に関わり、事業を作る基礎知識・体力を身に付けることができました。現在の取り組んでいる事業と畑違いではありましたが、優先順位をつけてタスクを進める、ファクトに基づいてロジカルに考える、といった仕事の本質は変わりませんし、今に活きていると感じています。

―事業を始めるにあたり、ケニアでの挑戦を決意したきっかけは何でしたか?

米田さん:学生時代に1年休学し、アフリカ各国でインターンやボランティアをして過ごしましたが、一番長く滞在したのがケニアでした。当時から仲良くしてくれている友達もたくさんいますし、何より子供の時から憧れていたマサイマラという、野生動物の王国とも言える場所で事業に挑戦できるチャンスがあったので、ワクワクしながらケニアを選択しました。

ボーダレスジャパンでの経験を活かし、ケニアでの生活がスタートしました。【本人提供】

非効率と思われるプロセスも長期的なら重要なプロセス

ケニアに来て約3か月(2023年12月時点)。クラウドファンディングで支援いただいた資金等を元手に、事業をスタートするべく日々奮闘しています。文化や歴史的背景が日本と全く異なるケニア人との協業が欠かせない中、大変なことはないのだろうか?

米田さん:共通認識を持って目標に向かい、一緒に頑張る状態を作るのが非常に難しいです。もちろん文化も違いますし、お互い英語が第一言語ではないので、伝えたい事がなかなか伝わらないことも多いです。しかし、そこで諦めてしまったら何も生まれない。お互いの考えや本音を理解するため、時間をかけてでも対面のディベートを徹底的に行うようにしています。自然とミーティングも長くなり、日本だったらテキストベースで数分で終わるようなやり取りを、1~2時間かけてわざわざ口頭で行うことも頻繁にあります。一見非効率で時間がかかりそうにも見えますが、長期的に見たら非常に重要なプロセスです。

時間をかけるコミュニケーションを大切にされています。【本人提供】

米田さんが描く“未来”

現地に入り込んで活動されている米田さん。今後のビジョンはどのようにお考えなのでしょうか。

米田さん:短期的には、現在準備中の事業をしっかりと形にしたいです。ゾウが地域住民の居住地に侵入し、住民が育てた農作物を食べたり住民を襲ったりしている現状に対し、ゾウがハチを怖がる特性に注目した養蜂事業を考えています。養蜂を通じてゾウと人間の共生を実現しつつ、ハチミツなどの副産物に付加価値を付けて販売していく事業です。

現在はゾウに関する活動がメインですが、中長期的にはゾウに限らず、野生生物と人間の共生をテーマに幅広く携わりたいと考えています。ケニアだけではなく、他のアフリカ諸国でも事業をやってみたいですね。NGOや政府系の組織と協同しつつ、彼らがカバーできていない領域で動いていきたいです。それぞれ補完しながら協力しあえたら最高ですね。

“自分の好きなことを大事にする”モットー

幼い時から好きだった動物と、憧れだったアフリカを掛け合わせキャリアを歩んでいる米田さんのモットー(座右の銘)も“好き”に関することでした。

米田さん:私のモットーは「自分の好きなことを大事にする」です。好きなものを好きであり続けるための努力をする。子供の頃の憧れに対して、何歳になっても純粋な憧れの感情を持ち続けられるような人間でありたいと思っています。目の前に辛いことや大変なことがあって、自分で自分の感情が分からなくなる瞬間は何回もありましたが、ちょっとずつでも自分の心の声を聞いてあげる作業は怠らずに、これからもやっていきたいと思っています。

自分の好きなことに正直になる

最後に、読者へのメッセージをお聞きしました

米田さん:僕は大前提、これまで自分の大切にしたいと思えるものに出会えことは凄く幸運だったと思っていますし、それを追求できる環境に心から感謝しています。加えて、自分の情熱や、好きなことを追いかける人が増えたら素敵だな、と思っています。「1日中ゲームをしたり、ダラダラして過ごしたい」というのも立派な夢だと思いますし、「お金持ちになりたい」、や「美味しいものを毎日食べたい」というのも素晴らしいことだと考えています。他人の目や失敗を気にせず、本当に自分がやりたいことを追求する人が増え、お互いに刺激視しあえる環境を作っていける人間になれるよう、僕も頑張ります!

 

米田 耕太郎

1996年、青森県生まれ。信州大学進学後は生物学を専攻しつつ、1年休学してアフリカ数カ国に滞在し、野生生物保全やコミュニティ開発に関わるボランティア・インターンに従事。アフリカから帰国後は「アフリカについてもっと知りたい」という思いから、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科のアフリカ地域研究専攻へ進学。大学院ではアフリカで実践されている地域住民と野生動物の共生について研究。大学院卒業後は「自分のやりたことが既存の組織の中にはない」と感じ、自分でやりたいことをカタチにしていく社会起業家を志す。22年卒でボーダレス・ジャパンへ入社。クラウドファンディング「For Good」でキュレーター・カスタマーロイヤリティを担当。23年9月からはケニアに渡航し、象と人間の軋轢を蜂の力で解消するビジネスに従事中。(2023年12月現在)

☆米田さんX(旧Twitter):https://twitter.com/yone_tagayashi
☆ボーダレスジャパンHP:https://www.borderless-japan.com/

 

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